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やさしい病気の話

今回は『効果が十分に発揮されるような飲み方をしましょう−漢方薬の上手な飲み方について』と題して工藤宏次さんが話題を提供します。

漢方薬は冷え性、疲れやすい、凝り、倦怠感(けんたいかん)など「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼ばれる体の不調に適しています。漢方薬には主に「煎じ薬」と「エキス剤」がありますが、医師が処方する漢方薬は主に「エキス剤」です。

服用のタイミングについて

服用は食前(食事の30分前)か食間(食後2時間)です。食後すぐに服用してしまうと効果が2割程度落ちると言われています。しかし、空腹時にコーヒーを飲むと吐き気が起こるというような胃腸が弱い方は、食後すぐの服用が有用な場合があります。1日3回の場合は、「朝起きてすぐ」「午後3時ごろ」「寝る前」に飲むようにします。もしも飲み忘れてしまったときは、前に飲んでから4時間空ければ飲むことができるので、次の食間まで待つ必要はありません。

服用の仕方について

効果的な飲み方ですが、エキス剤の場合は、1回分を湯呑みやマグカップに入れ、150ccから200ccのお湯を注いで飲みます。若干溶けにくいので、よくかき混ぜてください。溶け残った場合はお湯をつぎ足して飲むか、そのままスプーンですくって飲んでください。この飲み方が難しい場合は、お湯に溶かさずにそのまま飲んでもかまいません。お茶やコーヒー、スポーツ飲料などと一緒に飲んでしまうと、胃の中で反応して薬効成分が変化したり、減弱してしまうのでお勧めできません。服用後にお茶やコーヒー、清涼飲料水を取る場合は30分の間隔を空けるのが望ましいと言えます。また、西洋薬も併用して飲まなければいけないときは、漢方薬の服用後1時間空けてから西洋薬を服用してください。

服用期間について

漢方薬は少なくとも2週間は服用を続けないと効果は得られにくいものと考えてください。薬によっては4週間ほどの服用期間が必要なこともあります。服用してしばらくは病気自体の改善が得られなくても、「食欲が出た」「眠れるようになった」「元気が出た」など、体調の改善が出てきたら、そのまま服用を継続していると本来の病気も改善する場合があります。また、こむら返りに効く「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」など、頓用で即効性が期待できる漢方薬もあります。

服用の一工夫について

ひね生姜(収穫してから数カ月間寝かせた生姜)を親指の先端くらいの大きさの量にすりおろして、その搾り汁を加えると効果的な場合があります。生姜には、健胃整腸作用、鎮ちん嘔おう作用、抗炎症作用などがあり、また体を温める作用もあります。特に「葛根湯(かっこんとう)」や「六君子湯(りっくんしとう)」など風邪や胃腸を治す漢方薬に加えると効果的です。味について「苦い」など飲みにくい場合は、顆粒のままオブラートに包んで飲む方法がおすすめです。子どもが漢方薬を飲めない場合は、ゼリーやヨーグルトなどに混ぜてもよいでしょう。

漢方薬は「おいしい」と感じたらご自身に合っているといわれています。処方された時は、まず1包飲んでみてください。

(工藤 宏次 22.10.03)