運動には有酸素運動(充分な呼吸を確保して、酸素を消費しながら行う運動で歩行運動やサイクリング、ラジオ体操など)と筋肉運動(スクワットや階段昇降、ダンベルなど)があります。どちらの運動も健康に対して、それぞれに効果があります。
体に良いのは分かっていても「面倒だ」「時間がない」など、運動をなかなか習慣にできない人が多いと思います。そこで、少しでも動機付けになるように、運動をすることで得られる、生活習慣病予防に対する五つの効果について示したいと思います。
運動はインスリン抵抗性(血糖値を下げるホルモンの働きが悪くなること)の改善につながります。また、肥満対策にもなります。
適度な運動は、高血圧の改善、中性脂肪の低下、HDLxコレステロール(善玉)の増加、尿酸の低下などを介して動脈硬化の進展予防が期待されます。
運動によって骨に適度な負荷がかかることで骨密度の維持に効果があります。
米国の研究によると、運動の習慣のある人では、大腸がんが40〜50%減少、乳がんが30〜40%減少するとのデータが示されました。その他、子宮体がん、肺がんのリスク低下の可能性も示唆されています。日本人を対象とした研究では、さらに肝臓がん、胃がん、すい臓がんのリスク低下が示されています。
厚生労働省の健康づくりのための身体活動基準でも、運動は認知機能を向上させ、認知症のリスクを軽減することが明らかになっています。
運動することで、睡眠障害を改善したり、ストレス発散などの効果も期待されます。身体活動を活発にして体力をつけることは、生活の質を改善し、生活習慣病のリスクを下げることになります。毎日の生活の中で、積極的に歩くことや、掃除や洗濯などの家事で身体を動かすことも運動になります。人間は動物ですので、ある程度体を動かしている方がさまざまな機能がうまく回るようです。しかし、過剰な運動は関節を痛めたり、心血管事故につながる場合もありますので、無理のない範囲で運動量を増やすことをお勧めします。
(中島 康 22.01.04)