流行する病気について考えるとき、その代表はインフルエンザでしょうが、今世紀に入ってからを振り返るだけでも、さまざまな病気の流行がありました。
昨年から現在まで、風ふ う疹しんの流行が継続中です。風疹は数年前にも大流行しましたが、今回の流行は前回ほどではないものの、先天性風疹症候群の患者報告されており、今後の流行拡大が懸念されます。
若い世代を中心に、麻ま疹しん(はしか)の流行があったことを覚えておられる方もいらっしゃるでしょう。関東地方の大学生での流行を皮切りに、全国各地の学校で麻疹による休校、学年閉鎖、学級閉鎖が相次ぎました。多数の患者の発生は、社会問題にもなりました。
一昨年には自院の周辺でムンプス(おたふくかぜ)が流行しました。多くは幼児から小学校低学年くらいの子どもでしたが、中には成人の方もいらっしゃいました。ちょうど全国的に報告数が増加していたころで、医院近辺での流行はその一部を反映していたことになります。
今挙げた病気にはどれもワクチンがあり、VPD(Vaccine Preventable Diseases =ワクチンで予防できる病気、表参照)と呼ばれていますが、病気の流行した層はワクチン未接種であったという点が共通しています。風疹ではワクチン未接種世代の男性患者が大多数です。麻疹は、ワクチンを接種していなかった年代から流行が始まりました。風疹と麻疹のワクチンは幼児期の定期接種に含まれていますが、ムンプスは含まれておらず、免疫のない子どもから流行が広まりました。
風疹に関してはこれまでの反省を踏まえて、抗体価を確認した上での定期接種が始まります。ですが、風疹だけというのはどうも中途半端で、他の病気のワクチンはいらないのか、という思いを禁じえません。こうした病気にかかったことがない、あるいはわからない、という方や、積極的にVPDを予防したいという方は、近隣の医療機関にご相談ください。担当医の判断を仰いで、そして、ワクチンを打ちましょう。
ワクチンで予防できる病気「VPD」 (Vaccine Preventavle Diseases) |
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(佐々木 重喜 21.07.01)