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やさしい病気の話

今回は『早期発見・早期治療が重要です-「緑内障」について』と題して昆野 清輝院長が話題を提供します。

緑内障は皆さんもよく耳にする病気かもしれません。患者の皆さんからもときどき「白内障も緑内障も進行すれば見えなくなる病気でしょう?」と聞かれることがありますが、この二つは似て非なるものです。今回は分かっていそうでよく分からない緑内障、特に日本人に多いといわれる「正常眼圧緑内障」についてお話ししたいと思います。

緑内障の場合、眼球を小さな穴の開いた水風船に例えて考えると分かりやすいかもしれません。眼の中では常に水(房水)がつくられ、決まった経路で流出しています。このため、一定の圧力が保たれて眼球の形状が保たれています。この圧力を「眼圧」と呼び、正常の眼圧は10〜20mmHgで、緑内障の治療の際の指標となります。このバランスが崩れて蛇口からの水が増えて水風船が膨らんだ状態が緑内障です。眼圧が高くなり眼の神経(視神経)が障害されることにより、見える範囲(視野)の異常や、視力低下などを引き起こし失明につながる場合もあるのです。一度障害された視神経は元に戻りませんので、白内障のように手術で視力や視野を改善することはできません。このため緑内障は早期発見、早期治療が重要となるのです。

緑内障は我が国の失明原因の第一位を占めていますが、最近行われた大規模な調査で次のことが分かりました。

  1. 40歳以上の日本人の5%、つまり20人に一人の割合で緑内障の方がいて、年齢とともにその割合が増加していく。
  2. 大部分は眼圧があまり高くない正常眼圧緑内障である。
  3. しかもこの調査で緑内障と発見された方のうち、実に約8割の方は緑内障であることに気付いていなかった。

少し病気に詳しい方ですと緑内障は視野の一部が見えなくなったり、視野が狭くなったりする病気であることはご存じかもしれません。しかし、初期の緑内障では自覚症状はほとんどない場合が多く、また中期以降の緑内障でも、一部の緑内障のタイプを除くと「かすむ」「チラチラする」「眩しい」「疲れやすい」などの一見日常的な目の症状で受診され、偶然発見される方がほとんどです。自覚症状がない場合でも、特に40歳以上の方、家族に緑内障の方がいる場合や近視の強い方は緑内障のリスクが高いことが知られていますので、年に一回程度の眼科検診をお勧めします。

(昆野 清輝 19.07.01)