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やさしい病気の話

今回は『悪化すると入院治療が必要になる場合もあります-「胆石」について』と題して佐藤 裕明院長が話題を提供します。

胆石は、胆汁の成分が胆のうの中で石のように固まったものです。高齢化や食生活の欧米化とともに、胆石を持つ人が増加しています。70代の方では、5人に1人と言われています。胆石による腹痛は、みぞおちから右上腹部にかけての痛みが定型的ですが、時に右肩痛や頸部(けいぶ)痛、胸部痛を訴え整形外科や循環器内科を受診される方もいます。異常がないと言われた方は、胆石かも、と疑ってみてください。しかしながら、胆石があってもその3分の2は無症候性胆石症(サイレントストーン)で症状がなく経過観察となります。

胆石はその成分により、コレステロール結石、ビリルビンカルシウム結石、黒色石またそれらの混合石に分けられます。70%がコレステロール結石で、脂っこい食事や不規則な食生活、高脂血症がその原因となります。また、存在する場所により胆のう結石(胆のう内の結石で、70から80%がこのタイプ。50代からの人が多く、やや女性に多い)、総胆管結石(総胆管にある結石でほとんどが胆のうからの落下結石。20%ほどで、60から70代に多い)、肝内結石(肝臓内の胆管にできる結石。全体の1から2%。大半は、ビリルビンカルシウム結石や黒色石。胆汁の流れが停滞し、肝機能異常を起こしやすい)に分けられます。結石の成分、場所、数、大きさによりその治療法が決定します。

  1. 経過観察…年1から2回の血液検査・超音波検査。
  2. 溶解療法…薬を服用して胆石を溶かす。コレステロール結石のみ。
  3. 体外衝撃波胆石破砕術…衝撃波で胆石を砕く。
  4. 内視鏡治療…内視鏡を用いて胆石を排出する。
  5. 腹腔鏡下胆のう摘出術…腹腔鏡で胆のうを切除する。
  6. 開腹手術…腹部を切開して、胆のうを取り出す。

胆石は、良性疾患で心配するものではありませんが、時に急性胆のう炎を併発します。発熱、腹痛、黄疸などの症状が出ます。悪化すると腹膜炎まで進むこともありますので、入院治療が必要になることもあります。また、胆のうがん、胆道がんの人には高率に胆石症を合併している人が多いので、規則的な検査、観察をお勧めします。

(佐藤 裕明 19.05.07)