皆さんは、「月経前症候群(PMS)」という病名を知っていますか。これは、月経前3〜10日間の間に起こる身体症状、精神症状を言います。「イライラする」「十分眠ったのに眠い」「判断力が低下する」などの精神症状や、「顔や手足がむくむ」「頭痛がする」「頭が重い」「乳房が張る」「お腹が張る」「腰が痛い」などの身体症状が特徴です。
思春期から更年期までの女性の20〜40%に見られ、原因は不明ですが、排卵後に上昇する「黄体ホルモン」が引き金になっていることは間違いありません。月経は女性の正常な状態に伴うものですので、月経前に起こる右記の症状は病気でないという考えもありましたが、近年、研究が進み、症状の改善が試みられるようになりました。治療は、生活指導と薬物療法が基本となりますが、今回は生活指導について述べてみたいと思います。
まず、食生活です。砂糖のたっぷり入ったものや、カフェインの入ったコーヒーなどは控えましょう。砂糖の摂取で急激な血糖上昇と、その後に急激な血糖下降が起こります。この血糖値の急激な下降が、憂うつ感と疲労感を起こすといわれています。
また、カフェインは神経を過敏にし、イライラ感や憂うつ感を強くします。
さらに、食塩は水分を体にためる作用があるので、むくみや腹部膨満感を増悪させます。月経前には過度の食塩の摂取を控えることが大切です。
アルコールやたばこも症状の増悪に関係するといわれています。以上の食物の取りすぎに注意し栄養バランスを考えた食生活をすることが大切です。
次は睡眠です。睡眠が少ないと脳内物質のセロトニンが低下し、イライラ、憂うつ感といった症状が現れます。睡眠を十分に摂ることが大切です。
さらに運動も大切です。運動することで、体の充血が改善し、水分のむくみも改善します。
また、運動は自律神経のバランスをとり、イライラや不安を取り除いてくれます。症状の始まる前に定期的に運動することが最も大切です。
以上をまとめると、月経前症候群の改善には、
…の三つが大切なポイントです。
このようなことを行っても、症状が改善しない場合には薬による治療が必要ですので、かかりつけの産婦人科医にご相談ください。
(佐藤 康美 18.07.02)