医学の発展に伴い、さまざまな病気の原因が解明され、多くの薬の開発が進んでいます。
治療法の発展はさらなる高齢者の増加を招き、2025年には後期高齢者が2100万人を超えることが予想されています。
わが国は男性の平均寿命80.2歳、女性86.61歳と世界一の超高齢社会です。
しかしながら、健康寿命は男性で約9年、女性で約13年も平均寿命より短く、人生の最終段階で要介護状態となることを避けるのは極めて困難です。
特に加齢のメカニズムの解明は他の疾患に比べて遅れており、加齢に伴い生活機能の低下を招く病態として「フレイル」という言葉が注目されています。
フレイルとは、年をとり、筋力や活力が低下した状態をいいます。つまり、生理的予備能が低下し、要介護リスクが増加した状態で、要介護状態の前段階と位置づけられています。
その特徴として身体機能、栄養、認知機能、感覚機能の4項目を評価し、四つのうち二つ以上に障がいがある場合をフレイルとしています。
また、フレイルは医療関係者や家族、一般市民が関わることにより、再び健康な状態に戻るという可逆性が含まれており、適切な介入をすることで生活機能の維持向上を図ることができると考えられています。
フレイルは、高齢者の生命機能予後の推定や、包括的な高齢者医療を行う上で重要な概念であり、介入可能な病態であることから、高齢者の健康増進を考える上で、全ての医療専門職が理解し、診断介入を行うべき病態です。
また、一般市民への普及啓発も重要と考えられています。このようにフレイルという言葉が広く知られ、人々の予防意識が高まり、要介護のお年寄りが減ることで、健康寿命の延長を目指せるのではないかと思われます。
(豊島 慶弥 17.11.28.)