図1:野球肘の原因
野球肘は文字どおりほとんどが野球少年に起きる障がいで、小学5年生から中学1年生くらいに発症のピークがあります。軟骨や骨が痛みやすいこの時期にボールを投げ過ぎることが大きな原因です。また、下半身や体幹が硬いこと(コンディション不良)や肘下がりなどの良くない投げ方も見逃せません。肘の内側(小指側)に痛みが生じる内側型がもっとも多く、靱帯に引っぱられた骨が軟骨から剥がれてしまって起こります(図1)。通常は1カ月くらいの投球制限で復帰できますが再発も多いため、投球制限期間中にコンディション不良を解消し肘に負担のかかりにくい投げ方を身につけることが大切です。外側型野球肘は内側型の10分の1程度と少ないですが、より重症です。骨・軟骨がぶつかり合って傷んだり剥がれたりします。進行例では手術になることも多く、復帰まで1年以上かかることもまれではありません。したがってこの外側型野球肘を起こさないようにすること、早期に発見することが大切です。外側型野球肘では、内側型が先行する例が多いことや、症状が出る前にエコー検査で異常がみられることが分かってきています。内側の痛みがある選手や投球動作が多い選手は専門施設に相談したり検診を受けたりすることが大切です。
テニス肘は野球肘と違って必ずしもテニスプレーヤーに多いかというとそうではなく、むしろスポーツをしていない中高年者に多い障がいです。ものをつかんで持ち上げる動作やタオルをしぼる動作をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みが出ます。主に手首をそらす筋肉の付着部が障害されて生じると考えられています。どちらの肘障害にも、予防としてストレッチを習慣づけることが勧められていますのでやってみてください(図2)。
図2:野球肘・テニス肘予防のストレッチ(いずれも10~15秒間×3回程度)
(梅原 寿太郎 17.8.29.)