5歳未満の子どもが夜寝ている間におもらしすることを「おねしょ(夜尿)」といいます。その原因は、就寝中につくられる尿の量と、尿を貯める膀胱(ぼうこう)の大きさとのバランスがとれないためと考えられています。一方、5、6歳を過ぎても月に数回以上おねしょをする場合「夜尿症」と診断され、治療が必要な場合があります。夜尿症は6歳児の10から20パーセント、小学校高学年の約5パーセントにみられるといわれており、一般的には小学生になっても夜尿が続く場合に治療が行われています。
夜尿症には大別して三つのタイプがあります。一晩につくられる尿量が多い多尿型、膀胱の容量が小さい膀胱型、そして両タイプの混合型です。これらのタイプは詳細な問診や尿検査、血液検査等で見分けることができ、またタイプを知ることでより適切な治療を行うことが出来ます。
さて、夜尿症の治療についてですが、基本は生活改善です。規則正しい生活をする、夕食後は水分を摂りすぎない、体を冷やさない、就寝前にトイレに行く、夜中に無理にトイレに起こさない、などを実践することで夜尿症の2〜3割は改善すると言われています。また、夜尿の有無を記録(夜尿日誌)するのも有効です。そして「起こさず」「あせらず」「怒らず」を三原則に、夜尿をしなかった朝はたくさんほめてあげるよう心がけましょう。2〜3カ月間、これらの生活改善に取り組んでも無効の場合は薬物治療を検討します。夜尿症の薬には、抗利尿ホルモン薬(尿量の調節)、抗コリン薬(膀胱容量の調節)、安定剤などがあり、前述の夜尿のタイプにより使い分けます。
いずれにしても夜尿症は、医療機関で適切な診断・治療を受けることにより治せる可能性が高いため、小学校入学後も毎日みられる場合、高学年になっても週に複数回みられる場合、また昼間にもおもらしが頻回にみられる場合(昼間遺尿)などには、専門医療機関(泌尿器科、あるいは小児科)を受診することをお勧めします。
(黒澤 尚 17.8.23.)