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やさしい病気の話

今回は『毎日の生活を快適に―便秘の話』と題して伊藤良先生が話題を提供します。

昔から、快食・快眠・快便は健康な生活のバロメーターといわれています。毎朝快便で絶好調という人なら結構ですが、慢性的な便秘で悩んだりストレスを感じたりしている人は珍しくありません。それでも、あまり腹痛などの症状がひどくないため、自己判断でサプリメントなどに頼ったり、市販されている下剤を服用したりしている人が多いようです。

便秘とは、1回の排便量が少なくスッキリしない、排便後まだ残っているように感じる、排便の回数が週1〜2回しかなく硬くてつらい、お腹にガスが溜まって張っている、トイレで強くいきまないと出せないなどの症状がある状態です。それらの症状のため、日常生活で、快適でないと感じている人は、便通を改善し症状を軽くしなければなりません。

ところで、便秘になる原因はいろいろあります。便秘になりやすい持病のある場合や、持病の治療のために毎日飲んでいる薬で便秘になっている場合もあります。あるいは、下剤の服用方法が正しくないため、逆に便秘に傾いている場合もあります。また、便秘が続くために医療機関で大腸検査をしたら、便秘の原因になる病気が見つかったという器質性便秘の患者さんも珍しくありません。

ところが、多くの人の便秘の原因は「機能性便秘」というものです。日常生活で、摂取する水分の量や野菜などの食物繊維の量が少ない場合、体を動かすことが少ない場合、ストレスが溜まっている場合などは便秘に傾きやすくなります。そのような生活が続けば、大腸の働きが弱くなったり、便の排出機能が低下したりして機能性便秘になります。

機能性便秘を改善するためには、毎日の生活を見直すことが必要です。生活習慣を改善するだけでも便通は良くなっていきます。朝食をしっかり食べ、毎朝トイレに行く習慣をつけ、定期的に体を動かして運動するようにします。さらに、食生活も改善する必要があります。水分や食物繊維を多く含む野菜、ヨーグルトや納豆などの発酵食品を摂取することを心掛けるとよいでしょう。

便秘は病気のうちの一つなので、大腸検査で異常がなければ、適切な治療薬で便通は改善していきます。しかし、大腸の精密検査が必要な場合もあることから、便秘で悩んでいる人は、ぜひ一度医療機関(消化器系の診療科)を受診してください。もしも他の病気で通院中であれば、かかりつけの先生に相談してみてください。慢性的な便秘から解放され、毎日の生活を快適に過ごすために…。

(伊藤 良 17.7.3.)