ヒトは、加齢とともに、転倒しやすく、その転倒による骨折のために、以後、寝たきりの経過をたどることがあることは、広く知られております。転倒の主な原因は平衡バランス障害です。これには、次の三つが関与します。
一般的に、加齢とともに、三半器官にある有毛細胞数の減少、内耳神経の伝導速度の低下などが生じます。
加齢とともに、白内障などによる視力低下や、視細胞の反応(急に暗い所から明るいところへ、またはその逆、これを明暗順応といいます)低下が生じます。
体重を支える下肢、足底の器械的(感覚)受容器からの情報、もう一つは、荷重に関与する筋・腱・関節の深部感覚(固有感覚受容器)からの情報不足が生じます。
次の図をご覧ください。
ヒトの中心に赤い線が双方向で描かれています。
感覚は、脊髄(せきずい)などの知覚伝導路を伝導して、小脳・視床・大脳との間で刻々と情報交換しながら平衡バランスを調節しています。
加齢により、神経伝導速度の低下(10%程度)や神経細胞自体の退縮などがみられます。
加齢とともに、臀部(でんぶ)・下肢の体重を支持する速筋の萎縮が顕著です(サルコぺニア:筋肉減少症)。
さて、以上の「加齢に伴う平衡バランス障害」に対する、「対策」です。
加齢に伴う平衡バランスの機能回復・改善を図り、いつまでも元気に生活していきたいものです。
(横井 照彦 17.1.31.)