生命に関わる、予測の難しい事態への対応は本当に大変です。同様に、循環器の病気も突然やってきます。たとえば、脳のう梗こう塞そくは半身麻痺、心筋梗塞は胸痛などの症状で突然発症します。これらは血管の老化ともいうべき動脈硬化が原因で、血栓が血管をふさぐことで症状がでます。しかし、普段の心がけや薬で予防できます。
動脈硬化の代表的な原因は、高血圧症・脂質異常症・2型糖尿病や内臓肥満のメタボリック症候群などの、いわゆる生活習慣病です。これらの病気には、進行するまで、病気固有の症状はありません。病気の発見には、健診・ドックなどでの検査(血圧測定、採血など)が必要です。発病には、喫煙・飲酒・塩分や食事の過剰摂取・運動不足・ストレスといった生活習慣の積み重ねが関係しています。注意すべきことは、生活習慣だけでなく、遺伝的要因・ホルモンの異常・薬の副作用なども原因になることです。検診で異常を指摘されましたら、詳しい検査を受けましょう。そして、動脈硬化予防のためには、症状がなくても生活習慣の改善や薬の服用をおすすめします。薬嫌いの方もいると思いますが、かかりつけ医とよく相談して治療してください。
肺がんの予防には禁煙、胃がんの予防にはピロリー菌除菌、肝臓がんの予防にはC型慢性肝炎の治療や節酒などがあります。最近は、技術の進歩によりCTやMRIなどの検査、内視鏡やカテーテルによる治療など、体に負担をかけずに病気の診断・治療が可能になりました。病気は予防のみならず、早期発見・早期治療が大切ですので、定期的に健診を受けるようにしましょう。
日本人の3大死因は、以前は、がん、心臓病、脳血管障害でした。近年、肺炎が3位になりました。そしてこの秋から、高齢者の肺炎球菌ワクチンが定期予防接種になりました。肺炎球菌は、気管支炎、肺炎、菌血症などを引き起こします。その結果、持病の心臓・呼吸器・腎臓の病気が悪化したりします。予防に勝る治療はありません。是非、予防接種を受けて免疫力を高めてください。
冬場には、インフルエンザやノロ感染症の季節です。インフルエンザの予防には、ワクチン接種があります。日常の休養・栄養・保温・睡眠などに留意し、手洗い・うがいなどを心がけて、健やかにお過ごしください。
(吉方 清治郎 16.06.27.)