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やさしい病気の話

今回は「~夫婦で乗り越えよう~ 男性の「更年期障害」」と題して市川晋一先生が話題を提供します。

最近、男性にも更年期障害があると耳にするようになりましたが、皆さん、ご存じですか。更年期障害は、以前から女性特有の疾患と理解されてきましたが、実は、男性にも更年期障害があり、それを知らず、悩んでいる方もいらっしゃいます。

男性ホルモンは、骨や筋肉への作用、認知能力、幸福感などの心理的影響、性機能への影響などさまざまな作用があります。年齢とともに男性ホルモンが低下して、①落胆・うつ・イライラ・不安などの精神的な症状 ②発汗・ほてり・不眠・骨粗しょう症・関節や筋肉の痛みなどの身体的な症状 ③性欲の低下・勃起障害などの性機能に関連した症状――が起きる病気が男性更年期障害なのです。更年期障害は男性の場合は精神的な症状が多く、女性の場合は身体的な症状が多いようです。

「中年期」は「思春期」と並ぶ人生のターニングポイントです。働き盛りの峠を越え、管理職やそれに近い社会的地位や評価を得て、間もなく定年を迎えて第一線を退き、今までの生き方を振り返る時期です。「このような生き方で良かったのか」、「自分の生きがいは何だろうか」と悩み始めるのです。また、体力が低下するのに、仕事や責任は増える一方で、ストレスも増大します。そうして、日常生活のたくましさや活力のエネルギー源を失って、男性の誇りと自信を失うこともあります。

治療は、基本的には、男性ホルモンの低下ですのでそれを補うために、男性ホルモンを投与します。しかしほとんどの患者には症状を改善する薬を処方します。うつ状態や不安感、不眠などの心理的症状が強ければ心療内科や精神科の医師と相談し、抗不安薬・抗うつ剤を投与します。同時に専門医やカウンセラーのカウンセリングを受けることを勧めます。また、性機能障害、特に勃起不全には改善薬を個人の症状の程度や希望、年齢、必要度に合わせて投与します。良く効く漢方薬もあります。かかりつけ医にご相談ください。

予防は、ストレスをうまくコントロールすることが一番の方法です(下表を参照してください)。

人生80年の時代を迎え、更年期は人生の折り返し地点に過ぎないのです。家庭はストレスを発散させたり、癒しのための大切な場所です。家族、家庭を大切にして、特に奥さんの理解と協力を得ながら元気に生きていきましょう!

夫婦で更年期を快適に過ごすための10か条

  1. 嫌なことはできるだけ避ける。
  2. 明日でいいことは今日しない。
  3. 好きなことは頑張ってやってみる。でもほどほどに。
  4. 歩こう 1日1万歩。
  5. バランスの取れた食事(和食)をとろう。
  6. 気の合った友人を大切に。
  7. 仕事はほどほどに。
  8. 睡眠時間はたっぷりと。
  9. 年に一度の健康診断。何でも相談できるかかりつけ医を持ちましょう。
  10. いつまでも ときめいていよう。

(市川 晋一 16.02.08.)