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やさしい病気の話

今回は「~花粉症に最も多い症状のひとつです~アレルギー性結膜炎について」と題して堀江栄次先生が話題を提供します。

元来、私たちの体は、病原体(細菌やウイルス)などの異物(抗原)に対し抗体という抵抗力を作り、抗原抗体反応によって病原体を排除しようとする免疫という働きをもっています。ところが、体内に侵入した異物に対し体が過敏に反応しすぎると、かえって病的症状をもたらすことがあります。これがアレルギーです。

アレルギー反応の抗原になるものをアレルゲンといいます。アレルギー性結膜炎を引き起こすアレルゲンで多いのはスギ、カモガヤ、ブタクサなど樹木や草花の花粉、ダニ、ハウスダスト(家のなかのほこりのことで、ダニ、カビ、動物のフケや蚊などがまざったもの)が代表的です。

花粉症は目以外にもアレルギー性鼻炎などの症状がありますが、目は非常に症状の出やすい場所です。その原因としては、結膜は直接外界に接しており花粉が入りやすいことや、抗原となるたんぱく質が涙に溶けやすいことが挙げられます。さらに、結膜にはアレルギー反応をおこす免疫細胞がたくさんあり、血管も豊富なので身体のほうから炎症を起こす細胞が入り込みやすいことも関係します。

アレルギー性結膜炎は即時型(I型)アレルギーで起こり、その症状は、充血、目やに、なみだ目に加え、目がかゆくなるのが特徴です。このような症状はアレルギー反応の結果、ヒスタミンなどの化学伝達物質が神経や血管を刺激するために起こります。まぶたの裏にはブツブツが増え、白目はむくんで、時にはゼリーのようにブヨブヨとまぶたからはみ出してしまうこともあります。

スギ花粉症などの季節型アレルギー性結膜炎では、I型アレルギー反応をおさえる点眼薬を使います。抗アレルギー点眼薬はほとんど副作用がなく安全に使うことの出来る薬ですが、症状が強いときにはステロイド点眼薬を追加します。ステロイド点眼薬は適切に使用すればとてもすぐれた薬ですが、緑内障や感染症の誘発などの副作用をきたす場合があるので必ず眼科医の指示を受けてください。花粉症では花粉が飛び始める前から抗アレルギー点眼薬を点眼すると、花粉の飛ぶ時期の症状が軽くなったり、症状の出る期間が短縮されたりします。

花粉症の季節には、外出時にゴーグルやマスクをつけ帽子をかぶり花粉をできるだけ避けることが基本です。帰宅したときには、衣服や髪をよく払ってから家の中に入り、うがい、手洗い、洗顔を心がけましょう。風の強い日や晴れた日は外出を控えることも効果的です。

(堀江 栄次 14.2.25.)