• Home
  • やさしい病気の話

やさしい病気の話

今回は「~重症化に注意しましょう~ 「のど」の炎症について」と題して横溝道範先生が話題を提供します。

誰もがかかることのある「のどの炎症」ですが、ある程度であれば自然と治る場合もあります。一方、時には一気に悪化して入院が必要になる場合もあります。

さて、「のどの炎症」の原因は大きく2つに分かれます。ウィルス感染と細菌感染です。ウィルスによる場合はインフルエンザを除いて基本的には特効薬はなく対症療法となります。細菌性の場合は溶連菌や肺炎球菌などが主で、抗生物質が有効です。 

しかし、適切な抗生物質を適切な期間使用しないと、治りが悪くなったりぶり返したりすることがあります。最近では、耐性菌と言って薬の効きにくい菌が増えてきて問題になっており、より適切な抗生物質の選択を必要とします。細菌性の場合、重症化や難治化が予想されるときには原因菌を確認しながら適切な治療方法を探る必要があります。経過が悪いと髄膜炎、肺炎等の怖い感染症や、扁桃腺周囲膿瘍、頚部周囲膿瘍などの重篤な疾患に発展してしまいます。また、血球貪食症候群などの生命に関わる病状に陥ってしまった患者さんを経験したこともあり、要注意です。

一般に、のどの炎症が悪化すると、食べる・飲む・しゃべることが難しくなってきます。体調が悪くなるとせっかくの薬も吸収されずに効かなくなってしまいます。さらに、体力も落ちると思わぬ感染症を引き起こすことにもなります。

そこで、重症化した場合は、内服薬の効果が悪くなるので、点滴で抗生物質を投与し、同時に脱水の予防もします。それでも経過が悪い場合は入院して安静にしながら24時間点滴をしてしっかりと治療をします。

効果のある抗生物質でも、1日3回の薬を1日2回に飲む量を減らすと効果はガクンと低下してしまいます。無理して仕事に出ると体が疲れやすくなっているため、薬の吸収も悪くなり、薬の効果は期待できなくなります。

炎症の度合いを客観的に評価するには、のどの専門的な診察でかなりの判断はつきます。もうすぐ治りそうだとか、逆に熱がこれから上がりそうだ、といったことが判断できます。

さらに、血液検査でも炎症によって体がどの位ダメージを受けて反応しているかがわかります。白血球やCRP(C反応性タンパク)の数や状態等で判断します。私たちは、細菌性の場合、CRPが10を超える場合には入院治療を勧めています。

いずれにせよ、早くしっかり治すことが大事ですので、心配なときは耳鼻科を受診しましょう。

(横溝 道範 13.10.09.)