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やさしい病気の話

今回は「胃がん検診について~早期発見のため、年に1回必ず受けよう~」と題して亀谷武彦先生が話題を提供します。

胃がんは、10年ほど前までは男女とも死亡率が1位のがんで、がんの代名詞といえる疾患でした。現在は、医療の進歩と検診の普及、食生活の変化などで年々死亡率が減少し、死亡率は2位となっています。
しかし、胃がんにかかる方の割合(胃がん罹患【りかん】率)をほかのがんの場合と比較すると、年々減少傾向にはあるとはいえ男性で1位となっています。(女性では3位)

がんには「早期がん」と「進行がん」があります。胃がんの早期がんの場合、がんの診断を受けた5年後に生きている方の割合(5年生存率)は90パーセント以上ですが、進行がんの場合は5〜70パーセントで、生存率がガクンと下がります。このことから、いかに早くがんを見つけることが重要であるか分かります。
胃がんには、親がなったからといって、子も同じく胃がんになるような遺伝性はありません。がんにならないようにするにはどうしたらよいかを考え、またいかに早い段階でがんを発見するかが大切なのです。
例えば、喫煙者がタバコをやめると、胃がん、食道がん、直腸がん、肺がんなどの発症を全体で約25パーセント抑えられるというデータがあります。また、アルコールはビールで大瓶1本、焼酎で1合まで、塩分は1日10グラムまでに控える、野菜を400グラム摂る、熱いものを食べない― など、食生活の改善が予防につながると言われています。

がんの原因の一つとして、最近よく耳にするようになったのが「ヘリコバクターピロリ菌」です。これは、60歳以上の方が高い割合で感染している細菌です。ピロリ菌を除菌することで、一説では、がんになる方の割合が除菌から10年経過した時点で10パーセント低下するとされています。
このほか、胃の萎縮(胃粘膜の老化)の度合いを判定し、胃がん発症の危険性を推測できる「ペプシノーゲンテスト」という血液検査もあります。

早期の胃がんには症状がありませんが、胃の痛みや胃もたれなどを感じている方のうち5パーセントが胃がんにかかっていると言われています。また胃がんは大腸がんと比べて進行が早く、年1回の胃がん検診を受けることはとても大切です。
市の検診で行うバリウムによる胃の検査(胃透視)や、病院のドックで行う内視鏡検査は早期発見の手段として有効です。(最近普及しているPET検診については、ほかのがんは5ミリ単位で発見できますが、残念ながら胃がん検診では適応外となっています)
しょっぱいもの好き、お酒好きな秋田県人は進んで胃がん検診を受けましょう。

(亀谷 武彦 13.06.12.)