肺がんが増えています。平成21年に肺がんで死亡した患者数は、全国で6万7千人を超え、50年前のおよそ15倍です。がんが死亡原因の1位になって久しいですが、なかでも肺がんは、がん死の原因のトップとなっています。
肺がんは生活習慣病の1つですが、一番の要因はやはりたばこです。1日に吸うたばこの本数×喫煙年数(喫煙指数)が600を超えた50歳以上の方は、肺がんの高危険群です。
それでは、肺がんは怖い病気かというと必ずしもそうではなく、早期に発見すれば治癒が望めます。早期の肺がんは症状がないため、咳や血痰、胸痛が出てからでは、早期がんの可能性は低くなります。健康な時ほど検診は重要なのです。
以前から胸部X線による検診が行われていますが、死角が大きく肺がんの早期発見はなかなか困難です。ではどうすれば良いのでしょうか。
CT(コンピューター断層写真)を使った肺がん検診がカギを握っています。平成5年以降、被ばく量を抑えた低線量CTによる肺がん検診(CT検診)の研究が世界各地で行われており、「東京から肺がんをなくす会」の調査では、CT導入前後で発見した肺がん数の割合が42%から77%に増加。世界各国のデータでは、早期がん発見の割合が77〜100%、5年生存率は71〜94%に達しています。
また、喫煙指数が600を超えた方がCT検診を3年間受け続けた場合、胸部X線の場合に比べて、肺がん死の割合が20%低下するとの報告が最近米国からありました。CT検診で肺がん死亡率低下が証明されたのはこれが初めてです。
CT検診はいいことばかりのようですが、低線量に抑えているとはいえ放射線被ばくがあることや、偽陽性や検査費用、マンパワーの問題などもあり、現状ではCT検診をすべての方に受けていただくことは困難です。
そのため、肺がんCT検診のあり方に関する合同委員会では、検診の対象者に優先度を設定し
CT検診で発見された肺がん
(矢印先端部分)
としています。
仙北組合総合病院では、希望者にCT検診を行っています。詳しくは病院の保健福祉活動室へご相談ください。
(中川 拓 12.12.13.)