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やさしい病気の話

「スギ花粉症」

2002.03.01 佐藤 幸雄先生

鼻つまりです。ごく初期には、なんとなく鼻がムズムズしたり、鼻がヒリヒリ痛いだけのこともあります。その他、目のかゆみが伴う場合が多く、のどの痛みやだるさ、微熱などが見られることもあります。年々増加傾向にあるとされています。スギの植林の影響や大気汚染、ストレスとの複合などが増加原因とされておりますが、詳しい原因はわかっていません。人口の10-15%が罹患していると言われております。好発年令は就学時から50歳台とされておりますが、最近では、低年齢化してきており5歳以下でもみられることもあります。

治療

花粉からの回避:スギのない北海道や沖縄への転地

薬物療法:体内でつくられ、鼻や目の症状を引き起こす化学伝達物質ヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン剤や、同様の化学伝達物質ができるのを抑える抗アレルギー剤、点鼻薬や目薬の局所薬などがあります。症状がひどい時にはステロイド剤も短期間使う場合もあります。
市販薬に使われている抗ヒスタミン剤は安価ですが、眠気などの副作用が強く、仕事に支障がきたしたり、眠気の自覚が無くても注意力が落ちてくることもあり、車の運転などは特に注意が必要です。抗アレルギー剤は医師の処方が必要ですが、眠気がほとんど出ないものや一日一回の服用ですむものなどがあります。
早期治療ほど効果が高く、重症になってからでは症状が治まりにくく、できれば花粉が飛ぶ1-2週間前から抗アレルギー剤の服用を勧めます。

減感作療法:花粉の抽出液を少量から注射し、体質を変える方法ですが、数年間、定期的に注射する必要があり、又実施出来る医療機関も限られます。

手術療法:腫れた鼻の粘膜が薬でも改善が見られず、鼻つまりがひどい場合は、腫れた粘膜を切除する方法、またレーザー光線で焼灼する方法があります。

テレビ、新聞での花粉予報を参考にして、花粉の飛散が多い時、風が強いときは外出をひかえる。外出するときはマスク、メガネ、帽子をつけ、帰宅時は洋服に付いた花粉を払う、手、顔を洗い、うがいをする。また窓を閉め、洗濯物を外に干さない、空気洗浄機の使用なども大切です。

最後に、スギ花粉は三月初旬から四月中旬まで飛散しますが、スギ花粉に反応する人はヒノキにも反応しますので、ヒノキの花粉が終わる五月まで症状が続く場合がありますのでご注意ください。

(佐藤 幸雄)